ベースの音域ではありえない音がでる「ハーモニクス」は、ご存知ですか?
「こんな音をどうやって出してるの」「これを使ってどんなことができるの」と疑問に思っている方は、多いと思います。
私は、ハーモニクスを使った凄技は弾けませんが、実用的な活用をしています。
結論から言うと、チューニングに使えます。これを実践することで、人によってはチューナーが必要なくなります。
この記事では、ベースのハーモニクスについて解説していき、どうチューニングをするのかを紹介します。
もくじ
ベースのハーモニクスとは
ハーモニクスとは、ベースらしからぬ「キーン」と言った高音がでる、不思議な現象です。また、弦楽器には必ず存在します。以下の音声がそうです。
この音の正体は、基本の音(基音)の倍の音、「倍音」と呼ばれるものです。以下の図のようなイメージです。
倍音は、高音や低音がいくつも重なり合うものです。そして、様々な音の中に存在します。例えば、人の声・動物の鳴き声・虫の鳴き声・雨の音・生活音・ギター・ピアノ・サックスなどのいろいろな音に含まれます。
倍音が多い場合は、「少し濁ってるな」「音の輪郭がはっきりしないな」などといった感覚になります。
逆に、倍音があまりない音の例として、聴力検査の際に鳴らす「ピー」という音があります。これは、非常に無機質な音ですね。つまり、倍音によって、音のキャラクターが決められています。
ハーモニクスの仕組みは、この無数にある倍音を、1つピックアップして鳴らす方法です。そのため、ベースの音域以上の音を出すことができます。
このように、ハーモニクスとは、倍音を鳴らす奏法です。そのため、「キーン」と言った高い音がなるのです。
ナチュラルハーモニクス
まず、ハーモニクスは、音が鳴る位置が決まっています。これは、ベースのナットからブリッジの長さを1/2・1/3・1/4・1/5・・・・・と割った位置になります。以下の図のようなことです。
図では、書ききれませんが、無数の位置があります。そして、次項に登場する「人工ハーモニクス」と区別するために、これを「ナチュラルハーモニクス」と呼びます。
この中で、特に5・7・12・19フレットの真上は、きれいにハーモニクスが鳴ります。
このように、ハーモニクスは、ナットからブリッジの長さを均等に割った位置で鳴ります。また、人工ハーモニクスと区別するため、これをナチュラルハーモニクスと呼びます。
ハーモニクスの音程
ハーモニクスには、音程があります。以下の図がナチュラルハーモニクスの音程です。
これは、一部だけ記しましたが、様々な音程があります。下記の位置で押さえます。
- 1/2は12フレットバーの真上。音程は、4弦からE・A・D・G
- 1/3は、7フレットバーの真上。音程は、4弦からB・E・A・D
- 1/4は、5フレットバーの真上。音程は、4弦からE・A・D・G
- 1/5は、4・9フレットバーの真上。音程は、4弦からG#・C#・F#・B
このように、ある程度規則性があります。それは、1/2と1/4は、開放弦と同じ音になります。このことを把握すると、次項の人工ハーモニクスの仕組みが分かりやすくなります。
ハーモニクスの音程は、ベースでは出ない音域を出せるので、幻想的な効果を与えることができます。
その好例として、ベーシストのビクターウッデンがハーモニクスを多用して、演奏しています。以下の動画です。
非常に美しい音色がなりますね。難易度は高いですが、このような演奏も可能です。
このように、ハーモニクスには音程があります。そして、ベースの音域ではありえない音が出ます。
人工ハーモニクス
人工ハーモニクスとは、ハーモニクスが鳴る位置を変えることができる奏法です。先ほどの、ナチュラルハーモニクスでは、音程が決まっていました。しかし、この奏法は音程を変えれるということです。
例えば、3弦3フレットのド(C)を押弦(おうげん)します。押弦とは、弦を押さえることです。すると、3弦3フレットのド(C)からブリッジまでの長さの間に、ハーモニクスの位置ができます。
すると、以下の画像のようになります。
ハーモニクスの位置が変わったことが確認できたと思います。そして、距離が変化したことにより、音程も変わります。
ナチュラルハーモニクスでは、開放弦と1/2と1/4が同じ音だと言いました。人工ハーモニクスでも、押弦の位置から、1/2と1/4が同じ音になります。
お分かり頂けたでしょうか。このことによって、1/2と1/4はド(C)の音になります。
このように、複雑にはなりますが、音程を選択できるようになります。すると、先ほどのビクターウッデンの動画のように、メロディーを弾くことが可能になるのです。
以上の通り、人工ハーモニクスとは、ハーモニクスの位置を変えることができ、メロディーを弾くことが可能になります。
ベースのハーモニクスのやり方とコツ
ハーモニクスのやり方は、簡単です。ハーモニクスがなるポイントに触れて、弾くだけです。
コツは、ハーモニクスの位置を的確に触れることです。ここから、ナチュラルハーモニクスと人工ハーモニクスについて解説していきます。
ナチュラルハーモニクスのやり方
ナチュラルハーモニクスでは、主に5・7・12・19フレットバーの真上の音がよく使われます。また、簡単に鳴らすことができ、音量も大きいです。やり方は、以下の画像のように軽く触れます。
このように、指の先で、「触れる」というだけです。
弾き方は、優しめに弾きます。力強く弾いてしまうと、揺れが激しすぎて、うまく鳴ってくれません。逆に、弱すぎても音量が出ないので、調整は必要です。
そして弾いた後に、触れてる指をすぐ離してあげると、音の伸びがよくなります。
また、ピッキングの際に、ベースのお尻側(ブリッジ付近)で弾くと、ハーモニクスが鳴りやすくなります。
このように、5・7・12・19フレットバーの真上が簡単に弾けます。コツは優しく触れ、優しく弾くことです。
人工ハーモニクスのやり方
人工ハーモニクスは、難易度は高くなります。ハーモニクスが鳴る位置は、やりながら見つけていきます。
やり方は、まずフレットを押弦します。
次に、ハーモニクスの位置に触れなくてはいけません。これは、親指の側面で触れます。以下の画像のようにします。
そして、人差し指で弾いていきます。以下の画像が全体像です。
弾き方は、このような仕組みですが、ハーモニクスの位置を見つけるのは大変です。探りながらゲーム感覚で、いろいろやってみるのは面白いと思います。
このように、人工ハーモニクスは、押弦したら、親指の側面で弦に触れて弾きます。難易度は高いですが、やりながらポイントを見つけていきましょう。
ハーモニクスを使ったチューニング
ベースのハーモニクスで一番実用性が高い使い方は、チューニングです。
これは、1つの音が正確にわかればチューナーいらずでできるからです。そのため、音叉(おんさ)を使ってやるのが主流です。音叉とは、A(ラ)の音が出る道具です。以下の画像がそうです。
これは、Uの字の部分を叩くと「キーン」という高いA(ラ)の音が出ます。その時に、3弦のA(ラ)と比べてチューニングをするというものです。すると、完全にチューナーは必要なくなります。
私は音程で判断する、これが苦手です。しかし、4弦のE(ミ)が正確にチューニングさえできていれば、そこからチューナーなしでできるようになりました。
じゃあ「全部チューナーでチューニングすればいいじゃん」と話の腰を折らないでくださいね。。
そんな音程の判断が苦手な私が、なぜできるようになったのでしょうか?
この理由は、2つの音を比較して「音の揺れ」で判断するからです。これは、以下の画像の同じ色どうしを比べていきます。
このような関係性です。それでは、ここから私が行う手順を解説していきます。
- 低音弦のEをチューナーで正確にチューニングします。
- 次に、4弦5フレットのハーモニクスを鳴らします。
- 音が残っている間に、3弦7フレットもハーモニクスを鳴らします。
- この2つの音の揺れをなくすことで、3弦のチューニングをします。
- 次は、2弦をチューニングしていきます。
- 3弦5フレットのハーモニクスを鳴らし、2弦7フレットと比べます。
- これができたら、2弦5フレットのハーモニクスを鳴らし、1弦7フレットと比べます。
このような流れで、チューニングをしていきます。
以下の音声では、チューニングを合わせる工程です。
最初は、音が揺れているのが確認できると思います。これは、チューニングが合っていない状態です。
そこから、揺れをなくしていきます。
徐々に揺れがなくなって、一つの音になった感覚になることが確認できたと思います。
この状態がチューニングができた状態です。これを一つずつやっていきます。
はじめはよくわからないと思いますが、神経を集中させて何度もやりましょう。
以上のように、ベースのハーモニクスでおすすめの使い方は、チューニングです。これをマスターすることで、チューナー頼りにならずに、チューニングができるようになります。
まとめ
ここまで、ベースのハーモニクスについて解説してきました。まとめると以下の通りです。
- ハーモニクスの正体は、倍音
- ナチュラルハーモニクスとは、弦に触れるだけ
- ハーモニクスは、音程がある
- 人工ハーモニクスとは、押弦し、ハーモニクスのポイントを変えることができる奏法
やり方・コツ
- ナチュラルハーモニクスでは、指の先て触れる程度て優しく弾く。主に5・7・12・19フレット上が、簡単に鳴らすことができ、音量も大きい
- 人工ハーモニクスは、押弦し、親指の側面で軽く触れて、人差し指で弾く奏法
チューニング
- 5フレットと7フレットのハーモニクスを同時に鳴らし、その「揺れ」でチューニングする方法
ハーモニクスを駆使した奏法は非常に幻想的で、魅力があります。使うタイミングは難しいですが、面白いです。
そして、チューニングはおすすめです。慣れれば、チューナーが要らなくなる方もいると思います。
ここまで、読んでくださりありがとうございました。
あなたのベースライフの参考になれば幸いです。
それでは。