ベースのシールドケーブルについて、「なんでもいいでしょ」「どれも変わらないでしょ」と考えている初心者は多いと思われます。
しかし、ベースのサウンドにおいてシールドケーブルは、非常に重要な役割があります。この知識がないと、いつまでも「理想の音が出ない」「楽器店で試奏した音と全く違う」「音がどうしてもペラペラになる」などと言ったことが起きてしまいます。
これらの悩みを解決する、絶対に知っておきたい知識があります。これを知ることで、「どう選べば良いのか」という道筋が見えていきます。
この記事では、ベースのシールドケーブルについて、注意するべきポイントやおすすめの選び方について解説していきます。
もくじ
ベースのシールドケーブルとは
まず、エレキベースは、音を電気に変換する仕組みになっています。その際に、電気を伝える通り道がシールドケーブルです。
ベース用・ギター用などとうたっているものもありますが、ベースやギターのどちらでも使用可能です。主に、「シールド」や「シールドケーブル」と呼ばれます。
このシールドケーブルは、ある本質があります。このことについて、まず解説します。
例えば、本来のベースの音が100と仮定します。これに対して、シールドケーブルはそのまま100を伝えることはできません。なぜなら、必ず劣化して伝わるからです。
つまり、90または80などになって伝わります。基本的に、値段が高いものほど精度は上がります。逆に安価なものであると、かなり劣化してしまいます。
そのため、いくら良いベースを使っていても、シールドケーブルが劣悪だと、全てを台無しにしてしまします。この事実を把握していなければ、「豚に真珠」と言ったことわざのようになってしまいます。
このように、電気を伝える通り道がシールドケーブルです。そして、「必ず劣化して伝わる」ということを理解しておきましょう。
シールドケーブルによって音が変わる?
シールドケーブルによって、音は変わります。これは、音を伝達する精度の違いがあるためです。
音が変わる大きな理由とは、「伝達する帯域に差がある」からです。
シールドによって、低音・中音・高音の伝わり方は、以下のようにバラバラになります。
Aのシールド
・低音90/中音80/高音70
Bのシールド
・低音70/中音90/高音70
Cのシールド
・低音70/中音80/高音90
Dのシールド
低音70/中音70/高音70
実際は、わかりやすく数値で確認することはできません。パッケージの裏面などに、「シールドの特徴」が記載されていたりするので、「どういった傾向があるのか」を確認しましょう。
このように、メーカーやその種類によって、伝達の精度が変わるために、音が変わって聞こえるのです。
シールドケーブルの種類
シールドケーブルは、様々な種類があります。ここからそれぞれ解説していきます。
長さ
シールドケーブルの長さは、主に、1m・3m・5m・7mがあります。これは、使用環境によって、使い分けられるように、様々な長さが用意されています。
私は、「どのぐらいの長さが良いのか」分からず購入して、失敗をしてきました。特に1mは非常に使いにくいです。自宅でも立って演奏をしてたので、短すぎてよく抜けていました。
逆に、7mは長すぎてよく絡まっていました。
このように、シールドの長さは、主に、1m・3m・5m・7mなどがあります。使用環境によって、使い分けましょう。
パッチケーブル
パッチケーブルとは、短いシールドケーブルです。エフェクターどうしをつなげる際に使用します。以下の画像がそうです。
このように、パッチケーブルとは、エフェクターどうしをつなげる短いシールドケーブルです。
プラグの種類
プラグとは、シールドケーブルの先端についている金属のことです。これには、S型とL型があります。S型はlの字の形で、L型は文字通りの形です。以下の画像の通りです。
プラグの形状が違うことで、アンプ・ベース・エフェクターの差込口にあった物を選べます。
その種類は、下記のプラグのセットがあります。
・S型/S型
・S型/L型
・L型/L型
この3パターンがあります。
このように、プラグは、シールドケーブルの先端についている金属のことです。使用用途によって、S型とL型の組み合わせを決めます。
柔軟性
柔軟性とは、シールドケーブルの柔らかさです。柔らかいと扱いやすく、硬いと扱いづらくなります。
ただし、耐久性は硬いほど強くなるので、断線が起きにくくなります。
扱いやすさのことを「取り回しがいい」と言います。取り回しがいいと、シールドケーブルをまとめやすく、ねじれにくいです。そのため、演奏最中でも気になりません。
逆に取り回しが悪いと、まとめにくく、ねじれが取れにくいです。こうなると、「シールドが足に引っかかって、アンプから引っこ抜いてしまった」なんてこともあります。
一長一短がありますが、「高価なシールドであれ、硬すぎる物は絶対にやめた方がいい」と私の経験から断言します。
このように、柔軟性とは、シールドの柔らかさです。使用する上で意外と大事なので、購入までに確認しましょう。
値段
値段は、やはり高価な物ほど耐久性や質は高くなります。
シールドは断線しやすく、意外と消耗品です。
特に、安いシールドは、ダメになることが多いです。
私は、ことごとく¥2000以下程度のシールドは、すぐダメにしてきました。その経緯から安すぎるものは避けるのが得策です。
このように、値段は高価な物ほど、耐久性や質は高くなります。
シールドケーブルの注意事項
シールドケーブルを扱う上での、注意事項を解説していきます。
違うメーカーの使用は避ける
シールドの特性上、違うメーカー同士または、同じメーカーで種類が違うもの同士を同時に使うのは避ける方がいいです。つまり、同じ種類のものを使用することをおすすめします。
なぜなら、先ほど説明した、「シールドケーブルによって、伝達する帯域に違いがある」からです。
例えば、以下の図のような現象が起こってしまうからです。
Aのシールドは、[低音90/中音80/高音70]と伝達します。しかし、次のBのシールドで、[低音70/中音90/高音70]と伝達されます。
すると、低音は90から70に劣化します。中音は80から90なので、そのまま80で通ります。高音は、70から70なので、そのままです。
このように、違うメーカーまたは、同じメーカーで種類が違うもの同士を同時に使うには避けるようにしましょう。
長いシールドケーブルは音質が劣化する
長いシールドケーブルは、音質が劣化すると言われています。
私の経験上、音質の劣化はなかなか判断しづらいです。しかし、明らかに、ノイズを拾いやすくなってしまいます。ノイズとは、「ジー」と鳴る雑音のことです。
このような現象になったら、まずシールドケーブルを疑いましょう。
このように、長いシールドは、音質が劣化したり、ノイズを拾いやすくなります。
日頃の扱い方が長持ちを決める?
日頃の扱い方は、非常に大事です。なぜなら、シールドは断線しやすいからです。特にプラグとケーブルの接続部分は、断線しやすいので注意が必要です。
やりがちな扱いとして、ケーブル部分を引っ張って抜く行為があります。これは、かなりの確率で断線しやすくなります。シールドケーブルを抜く際は、プラグ部分を持って抜くようにしましょう。
また、シールドケーブルがねじれた状態で放置することも避けましょう。ブラグ部分での断線は修復可能ですが、ケーブル部分で断線してしまうと、取り替えが必要になってしまいます。
このように、日頃の扱いは、シールドケーブルの長持ちに直結します。
8の字巻きをしないと断線する?
シールドは、8の字巻きという、「あまりねじれが生まれない巻き方」を推奨しています。逆に、ただ巻くだけではねじれが生まれ、断線の可能性が大きくなるのです。
基本的にケーブル関係は、この巻き方で巻きます。ここから、説明していきます。是非覚えて身につけましょう。
まず、片方の手でシールドケーブルの先端あたりを持ちます。次に、少し先を持ち、外側に手首を返すように、輪っかを作って受け渡します。
次に、また少し先を持って、内側に手首をひねって受け渡します。ここが混乱しがちですが、画像をよく見てやりましょう。
ここまでの工程を交互に繰り返していきます。
このように、あまりねじれが生まれない、8の字巻きを覚えましょう
ベースのシールドケーブルの選び方
多くのシールドケーブルがある中で、「どう選べばいいのか」を解説していきます。
どこで、どのように使用するのか
まず、「どこで、どのような使い方をするのか」を把握することが大事です。つまり、長さ・プラグの形を決めることが重要です。
自宅のみの使用ならば、そんなに長さはいらないです。立って弾くことを考えると、3m程度あれば十分です。また、ライブやリハーサルスタジオでの使用ならば、「パフォーマンスも考え5mあれば良いか」と考えます。
そして、プラグの形は、ベース・アンプ・エフェクターの差込口(ジャック)の形状を確認して選びます。
例えば、私のベースでは、差し込む際に、L型の方がコンパクトに収まります。アンプはS型でないとうまく差し込めないので、S型/L型のセットにしています。
このように、「どこで、どのような使い方をするのか」で、使用長さやプラグ形状を決めましょう。
エフェクター は使用するのか
エフェクターを使用する場合では、シールドケーブルが2本必要になってきます。また、複数のエフェクターを噛ませるのなら、パッチケーブルが必要です。
繋ぐ順番が分からない方は、こちらの記事で解説しているので、ご覧ください。
このように、エフェクターを使用する場合では、パッチケーブルや、シールドケーブルが2本必要なので、あなたにあった本数を購入しましょう。
癖がないシールドを選ぶ
癖がないシールドを選ぶとは、特性が「低音重視や高音重視」などと言った、バランスが悪いシールドは避けるということです。
なぜなら、ベース本来の音色を把握した後で、「このシールドはどうだろう」と試した方が良いからです。
はじめから偏った物を使ってしまうと、色眼鏡をつけて見るようなことになります。まずは、しっかりご自分の耳で確かめることが大事です。
すると、音の違いも把握できるようになっていきます。しかし、安すぎるシールドはよくないので、以下のメーカーのシールドケーブルをおすすめします。
- CANARE(カナレ)
- Providence(プロビデンス)
- CAJ/CUSTOM AUDIO JAPAN(カスタム・オーディオ・ジャパン)
これらは、比較的安く、信頼のできるメーカーなのでおすすめです。
このように、まずは、癖がないバランスの良いシールドを選びましょう。
まとめ
ここまで、ベース・ギターのシールドケーブルについて解説してきました。まとめると以下の通りです。
種類
- 主に、1m・3m・5m・7mを選択可能
- パッチケーブルという、エフェクター用の短いシールドケーブルがある
- プラグの種類に、S型とL型がある
- 柔らかいと扱いやすく、硬いと扱いづらい。
- 高価な物ほど耐久性や質は高くなる
注意事項
- 違うメーカーまたは、同じメーカーで種類が違うものは避ける
- 長いシールドケーブルは、音質が劣化する
- 日頃の扱いは、長持ちに直結する
- 8の字巻きをしないと断線しやすい
選び方
- 長さ・プラグの形を決める
- エフェクターを使用するなら、最低シールドケーブルが2本必要
- 癖がないシールドを選ぶ
シールドケーブルは、どうしても劣化して伝わってしまいます。この違いは、シールドによって様々です。
この事実を知ることで、大きく考えが変わっていったかと思います。
このように、疎かになりがちなシールドケーブルは、大きな比重を占めています。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
あなたのベースライフが素晴らしいものになることを祈ってます。
それでは。