ベースの音作りは、尽きることのない課題です。プロでも模索し続けるほど奥が深く、音楽の醍醐味の一つです。
特に初心者は、「ベースの音の作り方がわからない」という方は多いです。
これは、私もそうでした。
この理由に、「何がいい音」で「何が悪い音」なのかかわからないということが挙げられます。これは、体感することでしか理解はできません。しかし、知識を得ることで「より早く確実に」進むことができます。
この記事では、ベースの音作りの知識とリハーサルスタジオでの音作りを解説していきます。
もくじ
ベースの音作り方に正解はない
ベースの音作りは「こうすれば正解」などということありません。
この理由は、音作りが様々な要素で成り立っていることが挙げられます。
例えば、アンプの種類によって全くキャラクターが変わります。また、ベース本体・弦・弾き方・部屋などといった様々な要素で音は変化します。
そもそも、音の好みは人それぞれです。
このように、ベースの音作りは様々な要素で成り立ち、好みがわかれるため正解はないです。
ベースの音作りの注意点
ベースの音作りの注意点は、単体での音作りと、バンド全体での音作りは違うということです。
なぜなら、ベース単体で作った音を他の楽器と合わせたときに、お互いに打ち消しあってしまうことが多いからです。
私の経験上、単体ではいい音作りができたのに、バンドと負わせると「イマイチ」なんてことは多いです。
逆に、ベース単体ではイマイチに感じる音作りでも、バンドと合わせるといいなんてこともあります。
このギャップは、「周波数」と呼ばれるものが原因です。
周波数とは、1秒間に繰り返される音の振動回数のことです。
例えば、1秒間に1回の振動を「1Hz(ヘルツ)」といいます。1秒間に100回の振動は、100Hzです。数が大きいほど高い音になり、小さいほど低い音になります。
楽器同士の周波数が被ると、音が音がお互い打ち消し合ってしまいます。
しかし、ベースの周波数帯域は広いです。もちろん、他の楽器とも被ります。そこで、どこの帯域を強調するかが重要です。
楽器ごと周波数の割り振りを意識することで、それぞれの音がよく聴こえ、バンド全体がまとまります。
プロのアーティストのライブは、非常に聞き取りやすいです。これは、このことが理由です。
このように、ベース単体とバンドの音作りのギャップには、周波数が関係しています。
理想の音を見つける
理想の音作りのためには、好きなアーティストを参考にすることが有効です。
なぜなら目指す指針がないと基準がわからないからです。また、「どのような機材を使っているのか」という視点でも知識が増えてきます。
私は、そのような基準を持たずに、音作りをしていました。音が定まらず、長いこと遠回りをしてしまいました。
このように、理想の音作りのためには、好きなアーティストの音を参考にすることが有効です。
ベースの音作りはアンプ直にこだらなくていい
よく、「ベーシストは弾き方で音を表現するためアンプ直でやるべきだ」と言われます。
このアンプ直とは、ベースとアンプの間に、エフェクターを噛ませないことです。
これは、全く気にしないでいいです。
なぜなら、バンド全体として「いい音」になることが一番重要だからです。
アンプ直は、非常に潔くてその思考自体はカッコイイです。しかし、こだわりすぎては核の部分がずれてきてしまいます。
これは、アンプのキャラクターの影響が大きいので、音作りに「限界」があるためです。
このように、アンプ直にこだわらず、バンド全体としての「いい音」を追い求めることが大事です。
バンドマスターを決める
ベースの音作りにおいては、バンドマスターを決めることが大切です。
バンドマスターは、通称バンマスと呼ばれます。これは、バンドのリーダーのことで、様々な判断をする人のことです。
そして、リハーサルスタジオやライブの際に、音作りのバランスを判断してもらうのです。
客観的に聴く人がいないと、自分の楽器のことに集中しすぎます。
バンド全体の音がまとまらず、聴きづらい音になります。
バンドマスターには、多くの知識がある作曲者が適任です。また、コピーバンドをやっている方は、ボーカリストが適任です。なぜなら、ボーカリストが気持ちよく歌える音作りが一番良いからです。
このように、ベースの音作りにおいては、バンドマスターを決めることが大切です。
リハーサルスタジオでの音作りの手順
ここからは、リハーサルスタジオにおけるベースの音作りを順を追って解説していきます。
アンプの電源を入れる
まず、アンプの電源を入れます。
このとき、GAIN(ゲイン)とVOLUME(ボリューム)が0になっていることを確認します。そうしないと、アンプが壊れてしまう可能性が高いためです。
前に使った人が戻してない可能性があるため、注意が必要です。
逆に、あなたが使ったあとは、マナーとして全て元に戻しましょう。もし壊してしまい弁償になったら高額です。
このように、GAINとVOLUMEが0になってることを確認して、電源を入れるクセをつけましょう。
スリーバンドイコライザーをあげる
次に、スリーバンドイコライザーを上げます。
スリーバンドイコライザーとは、以下の3つのつまみのことです。
- BASS(Low)
- MIDDLE(MID)
- TREBLE
これらを全て、12時の位置にあげます。
この位置が「フラット」の音になるので、これを基準に、「足したり」「引いたり」していきます。つまみを右に回すと「足す」・左に回すと「引く」になります。
私は、どのような変化があるのかよくわからなかったので、いろいろいじりましたが、「結局フラット」に落ち着くことが多かったです。
このように、スリーバンドイコライザーを、12時の位置にあげます。
GAIN(ゲイン)とVOLUME(ボリューム)をあげる
次に、GAIN(ゲイン)とVOLUME(ボリューム)またはMASTER (マスター)をあげていきます。GAIN(ゲイン)とは、「歪み」の度合いを決めるものです。音量調節は、VOLUME(ボリューム)またはMASTER (マスター)です。
基本的なアンプは、両方をあげないと音が出ません。
まずは、ゲインを少しあげ、弾きながらボリュームを調整します。この状態の音が、一番フラットな音色になります。
次に、ゲインをあげていき、「歪み」を調整します。この際に、音量も上がるので、VOLUMEを下げながら調整します。
この時に、ピークランプというゲインの横についているランプが、点灯することがあります。
これは、「歪みが強くなってますよ」という目安の意味合いです。私は長年、「アンプの故障の原因になる」という噂を信じていましたが、嘘なので、気にせずにいじってください。
このように、ゲインとボリュームの2つを上げます。そして、バランスを定めていきます。
スリーバンドイコライザー の調整
歪みや音量がなんとなく決まってきたタイミングで、スリーバンドイコライザーを調整していきます。
ここからは、BASS(Low)→TREBLE→MIDDLE(MID)の順番で、それぞれ解説していきます。
BASS(Low)について
まずは、BASS(Low)の調整からします。ベースらしい音作りをする上で、低音は重要です。
上げるにつれて、音がぼやけます。逆に、下げるにつれて、薄っぺらい音になります。
よく「低音が回る」と表現します。これは、低音の性質上、音が消えにくく響き渡るためです。
ライブハウスやスタジオで、低音が大きすぎることによって、文字通り部屋中を回り回って訳がわからないことになることがあります。
このことから、低音を調整する際は、上げ過ぎに注意が必要です。また、低音が出やすい楽器なので、下げめでも十分出てくれます。
このように、ベースの音作りにおいて、まずはBASS(LOW)の調整をします。
TREBLE
次に、高音域であるTREBLEを調整します。これは、つや感を出す上で非常に重要です。
これは、上げるにつれ「キンキンうるさい」事態になります。逆に下げるにつれ、「つや感がない」音になります。
私は、ベース特有の「アタック音」が好きなのでで、そのニュアンスを左右するTREBLEは非常に大事だと感じています。
このように、ベースの音作りにおいては、2番目に高音域であるTREBLEの調整をします。
MIDDLE
最後に、中音域であるMIDDLEを調整します。これは、音の「コシ」や「輪郭」を出す上で非常に重要です。
上げるにつれ、音の輪郭がハッキリします。一方で、独特な音色になっていきます。
ちなみに、ここを大幅にカットすると、ドンシャリと言われる音になります。低音・高音を際立たせ、独特の音色にする方法です。
基本的にベースは、あまり出過ぎた音にするのはおすすめできません。これは、メインメロディーを邪魔してしまうからです。
このように、ベースの音作りにおいては、最後に中音域を調整します。
GAIN(ゲイン)とVOLUME(ボリューム)を再調整
ここまである程度音色が決まったら、改めて、GAIN(ゲイン)の歪み具合を調整します。その後、VOLUME(ボリューム)をドラムに合わせて、音量を決めます。
ただし、狭いリハーサルスタジオでは、ドラムの音量が大きくなりがちです。これに、合わせすぎると、ベースの音量も大きくなりすぎてしまいます。
このことも考え、あくまでボーカルが歌いやすい程度に調整しましょう。
このように、最後にGAIN(ゲイン)とVOLUME(ボリューム)を調整をしましょう。
ベースの音作りの豆知識
他にも、ベースの音作りにおいて知っておいた方が良い知識を紹介します。
ベースアンプを壁から離す
低音の鳴りがどうしてもぼやけてしまう場合、アンプを壁から離すことで、解消されます。
これは、アンプと壁の間に低音が溜まってしまうためです。
私もこの症状があり、「壁から離すといいよ」と聞き、試したところ、「こんな変わるんだ」と驚きました。
このように、アンプを壁から離すことで、「明らかに」低音の鳴りがよくなります。
ベースアンプから離れて音を聴く
ベースの音を確認する際は、アンプから離れて聴くことが大事です。
アンプの前で聴くのと、離れて聴くのでは音の感じ方は変わります。そのため、離れることでメンバーに聴こえている音と自分に聴こえている音を近ずけられるのです。
このように、ベースの音を確認する際は、離れて聴くことが大事です。
立つ位置を変える
ベースの音作りでは、立ち位置を変えることが有効です。
基本的には、ベースアンプの前に立つのが普通です。立ち位置を変えることで他の楽器も良く聴こえ、客観的にベースを聴くことができます。
私のバンドがよくやっていたのは、アンプの位置はそのままで、ベースとギターの立ち位置を変える方法です。
「自分のことは自分がよくわかってる」つもりでも「他人の方があなたのことをよくわかってる」ことがありますよね。また、「他人のことを知ることで、自分の幅が広がる」ように、大きく視点が変わります。
「盲目」になっている部分を変えることで、新たな発見につながります。非常におすすめです。
このように、ベースアンプの前から立ち位置を変えることで、客観的に聴くことができます。そして、「新たな発見」により、スキルアップが見込めます。
まとめ
ここまで、「ベースの音作りの知識」と「リハーサルスタジオでの音作りの手順」を解説してきました。
ベースの音作りは、様々な要素で成り立っているので、非常に奥が深いです。
「単体の音作り」と「バンドでの音作り」のギャップを埋めてやってみてください。
もちろん正解はないですが、みんなで合わせた時に、「聴きやすいこと」がいい音である条件です。
是非、体感していろいろ研究してみてください。
ここまで読んで下さりありがとうございました。
あなたのベースライフの参考になれば幸いです。
それでは。